夏休みに「凜一シリーズを読み返して」というのを書いたのですが、連休ということで今度は「東京少年を読み返して」を開催しました。
東京少年も正解が書かれていないので、予測になりますが…
注目して読み返してみようかな、というきっかけになれば幸いです。
今回はヒカルとフジの話は抜きにして、主に全体の話や親世代の話にします。
ヒカルとフジに関しては、興奮して脱線するので別ページにて…
名前について
東京少年で特徴的なのが“名前”。読めない!!笑
ですが、ただ読めないだけじゃないと思うので、由来を考えてみました。
名前 | 読み方 | 通称 |
---|---|---|
祝 常緑 | ことぶき ときわ | ロク |
祝 朔朗 | ことぶき さくろう | サクラオ |
祝 季彦 | ことぶき としひこ | ?(カトリ?) |
千河 紫 | ちがわ すみれ | ツノメガワ |
連 玄菊 | むらじ はるあき | キク |
連 玄藤 | むらじ はるひさ | フジ |
河村 光 | かわむら こう | ヒカル |
祝 常緑・朔朗・季彦
まずは祝(ことぶき)家です。
作中で書かれているのは、「季彦」さんは「末息子」という意味。「季」を辞書で引くと、確かにそう書かれています。
とすると、「朔朗」さんの「朔」=一日(ついたち)などの意味があるので、季彦さんと対で長男なのかな?と想像しています。
「常緑」くんの「常」の字はその間を取っている印象ですが、それよりも色の名前である「緑」が意味深な気がします(後述)。
どうやら黒の対の色が緑な気がしています。
また、苗字「祝」。
ロクくんいわく、おめでたい苗字のため反発したい気持ちがあり、色は黒が好きだと。
サクラオもブラックコーヒーが好きだったり、ツノメガワも「あの人はやたらと黒を選ぶ」と言っていました。(それは弱点を抱えた人の無自覚な歪みである、とも)
季彦さんは不明ですが、おそらく好きです。紫さんのことが好きなので。
千河 紫
常緑くんと同様、名前に色の名前が入っています。
紫は黒に近い色で、墨花亭にも濃紫の花が咲いています。紫という色は、「黒」という色が強い意味を持つこの作品でいうと、黒にはなりきれていないけれど近い色、という印象です。
※また、ムック本「三日月少年の作り方」の中で。長野さんが資料のために黒い花をいくつか取り寄せたとのこと。ほとんどが「黒じゃなくて紫・青だ」という印象だったという話からも、紫は黒にはなりきれていないけれど近い色という印象を受けます。
連 玄菊
連姓はもう一人いますが、私の主張のために分けますね…笑
字は違いますが、色の名前「黒」が入っています。玄菊・玄藤しか名前が出てこないので不明ですが、連家代々「玄〇」という名前っぽいですよね。墨花亭の家系です、という感じで分かりやすいです。
いったんここでまとめたいのですが、親世代(朔朗、紫、玄菊)の関係性と名前について。
・祝家:黒色が好き
・紫:黒にはなりきれていないけれど近い色
・黒=玄
朔朗さん、キクのためを思ってツノメガワと結婚するわけですが、情が移ると思ったらうまくできない。
紫は黒に近い色だけれども、真に黒ではない。やっぱり黒=玄菊がいい。
そういう運命だったのではないかと…
ツノメガワが大叔母を装ってロクに会いに来た際、あの人は何かと黒を選ぶのよね(それがサクラオの歪み)という言葉は、
黒に近い紫である自分は選んでくれず、真に黒の玄菊のことしか見てないの、と考えると切ないです。
河村 光・連 玄藤
ここまできたら、この二人にも何かあるだろうってことで…笑
2か月前に「光×玄藤のあれこれ」でとりあえず熱を放出した中でチラっと書いていたのと同じですが。
「玄藤」はまぁ、「玄菊」の弟と分かるような名前であることは分かりますが、「光」とは?と考えると…
光源氏と藤壺!!(大声)
ヒカルとフジの関係性を、光源氏と藤壺に当てはめますとですね。また違った趣がありますね。
サクラオに好き合ってはいけないと言われているけど、絶対に内緒で逢瀬を重ねていますね?
あとやっぱり、ヒカルはプレイボーイなので、口数の少ない光源氏といっても過言ではない。
フジが藤壺と考えると寝込みそうなので、このぐらいで引き上げます。
色について
名前の話でも出ましたが、象徴的なのが「色」です。
この部分はまだ考えが深まってないので、メモ程度に書きます…
作中では、黒(紫も含む)と緑が良く出てきます。
黒(≒紫) ⇔ 緑
名前にも使われているので象徴的ですね。
①ツノメガワが着ている服
ツノメガワさん、何度か衣替えをして登場します。印象的なのが下記。
・萌黄色の着物
叔父さんの母親を装ってロクを訪ねてきたとき。萌黄色≒緑の着物。
・藤紫の洋装
最後、ホテルで話し合いをする時。
※ちなみに、墨花亭の奥様(キクの母親)は薄紫の着物を着ています。
②飲み物
よく登場するのが、コーヒーと緑茶。
コーヒー=黒とすると、対になっている印象です。
・サクラオも叔父さんもコーヒーが好き
・ツノメガワが叔父さんの母親を装って訪ねてきたとき、ロクは緑茶がいいと思いながらコーヒーを出す
・河惣の二階で父といる時、ロクは熱い緑茶を淹れる=落ち着くための儀式
まだまとまってないので、だから何という感じですが…
コーヒーの飲み方(サクラオはブラックしか飲まないなど)も意味深なのですが、またいつか考えたいです。
親世代について
結局、朔朗・紫・玄菊と季彦って何があったんだ、
というのがこの物語の謎なわけですが…
以下個人的見解です。違うかもしれませんが、各々考えるのが東京少年の魅力ということで。
年齢
まず4人の年齢について。
計算ミスってたら恥ずかしいのでこっそり教えてください…
作中では、6月6日にロクが14歳で、3月に季彦が32~33歳になったとあります。
また、紫は(大叔母のふりをしていた時ですが)季彦と3歳違いと言っており、そのまま受け取ると35~36歳。
→21歳頃にロクを生んだ計算。このとき朔朗もまだ学生だった、とあるので朔朗・紫・玄菊は同級生かと。
ここから諸々逆算していきます。
年齢 | 学年 | 出来事 |
---|---|---|
16歳 | 高校1-2年 | キクとサクラオがバイク事故=そこから疎遠 |
20歳 | 大学2-3年 | キクのところにツノメガワが黒椿を持っていくはずだった |
サクラオとツノメガワが結婚 | ||
21歳頃 | 大学3-4年 | ツノメガワが妊娠・出産 |
※そのとき季彦は18歳くらい | ||
35-6歳 | ロク14歳、親権争いで4人再集結 |
キクは「十数年ぶりに日本に帰ってきた」とありますので、大学を卒業して官庁の研究員になってから、ずっと海外にいたようです。
サクラオとは、空港で偶然会った時に立ち話するくらい。
なんか…切なくて泣けませんか…キク、ずっと罪を背負いながら海外で独りだったん…⁇
朔朗と紫の結婚経緯
キクとツノメガワは、もともと親同士(紫は両親が早くに亡くなっているので後見人)が結婚させようとしていた。
そのことに対して、3人がそれぞれ想いを持っていた。
キク:自分は親の決めた相手と結婚したくないけど、従うことがサクラオへの償いになると思っている
サクラオ:キクが自分をないがしろにする態度が気に食わないので、キクを自由にするためにツノメガワに近付く。
ツノメガワ:養父母が決めた相手とは結婚したくないので、断る口実としてサクラオと結ばれたフリ
ツノメガワはおそらく、最初からサクラオとキクが好き合っていると気付いていたわけですが、二人が素直になるのを待っていた。
でも意地になってるんで、それならばと子供が欲しいとサクラオに強要する(サクラオのことが好きになっていたこともあり)
でもサクラオは先天的に種が少ないので、誰かに頼むしかない。
→知らない誰かに頼むより、信頼できる祝の血筋に頼もう
→仲の良い従弟の季彦だ(東京にいるし!!)
季彦さんはまだ未成年(18~19歳)だったと思うので、従兄さんそれはちょっと…という感じですが、
季彦さんも家に突然やってきた美しい女性に一目ぼれしていた可能性もあります。
そうするとまた切ない話になりますね…好きな女性の子供なら、自分で育てられなくても欲しかったのかな…
サクラオは事故の罪の意識からキクを解放するため、決定的に突き放す機会を探していた。
→生まれた子供に連家特有の旋毛があるのを発見し、暴言を吐き当たり散らす。
キクとサクラオは40歳手前になった今でも、紫に消しかけられるくらいお互いが好きなわけで、こんな別れ方は辛かっただろうなと思います…
サクラオは人生の唯一の後悔が、キクへの暴言なんて。なんてこと…
紫の旋毛とKatori
最後、紫さんにも若い頃旋毛があったことが発覚します。連の血が入っているのだろうか…⁇自然と消えるので、単に紫さんの家系特有のものかも?
紫さんの旋毛=蚊取り線香と呼ばれており、どうやらこれが「Katori」の由来らしいですが…
「Katori」の正体は明かされませんが、季彦さんの説が濃厚です。
(フジの家に季彦さんから預かった『花の譜』のバックナンバーがあった、など)
何でKatoriにしたのか、紫さんのことめちゃくちゃ好きすぎてとかだったらいいなぁ(願望)
結局ロクの父親って誰なんだ~ってなりますが、血のつながりよりも心で繋がっている父親・サクラオが、ロクくんの父親だよ、ということをツノメガワさんは言いたかったんじゃないかなと思います。サクラオのミルクしか飲まないし。
あと、世間体に縛られず、好きな人と一緒にいようねという。ロクとサクラオもそうだし、サクラオとキクも。最後はロクくんが墨花亭に住むようになったようですし、パパ二人と息子一人の三人家族で末永く幸せに暮らしてほしいものです。